車の傷は心の傷

自分の車は、今どき当たり前ですが、リアシートを倒すことによって
さらに大きな荷物を積むことができます。
ベビーカーなど持っていても、片手で車内のシートを稼動できるなど、
自分が想像するより多くの層の方々に支持されているようです。

この後ろのスペースの両端に、なにかを埋め込んだり、
つや出し保護スプレーではもう消すことができない傷があります。






じつはこれは、人に貸したときにつけられました。
返却時ではなく後日気づいたので、
とても衝撃を受けました。

その衝撃とは、傷やその深さではなく、
貸した人から、車内を傷つけたことに関して何も
「申し出」がなかったからです。

せめて、
「荷物を出し入れする際に傷つけてしまった、ごめんなさい
の一言があれば、しかたない、で終わることもできました。

日本人はすぐ謝る、と責められることも多いのですが、
それで後々引っ張らないことを思えばすぐれた手段です。

今も、車内を掃除しているときなどに、
たまたまその傷が目に入るだけで、
苦しい思いになります。

苦しい思い出というのは忘れてしまうように
なっているそうですが、
この傷は、どうしても目に入ってしまうところにあります。

たいてい、大きな荷物を車内に持ち込む場合は、
不要なタオルや毛布で覆うなどして、
接触しないように注意するものですが、
そういう配慮すらなかったようです。


なぜこんなことになったのか。

それはある日、
「知人の引っ越し荷物を運ぶのに車を借りたい」
と、その人に呼び出され、
当時人の良い自分は都内まで出かけました。

それでもやはり不安なので同行したいとお願いしましたが、
うまく言いくるめられてしまいました。

振り返ると、あのとき最初から、呼び出されても
行かなければよかった、と今だに後悔しています。
当時の自分はそれだけ甘かったのです。

その後、もっと後悔することが起きました。

その人は違反を繰り返したのか無免許(免許を取得できない状態)で、
持っていた免許証はインターネットを通じて業者に金銭を支払って偽造し、
それがたまたま検問でひっかかって現行犯逮捕されたことです。

さらなる衝撃で頭をガツン!と殴られた気になりましたが、
冷静に考えると、そこで捕まってよかったのではないだろうか… と。
もしかしたら大きな事故を起こして
もっと多くの人に迷惑をかけた可能性もあるのです。

保険金など支払ってもらえる状態ではありません。
おわびしてすむものでもありません。

想像するだけで冷や汗が出ます。
車内の傷だけですんで奇跡でした。

その後はどんなに親しい間柄の人でも、
運転させたり貸すことはしていません。
「車を貸してくれ」と申し出る人もいません。
そんなリスクを背負うならレンタカーを借りるのが
普通の人の常識です。

その人がレンタカーを借りなかったのは、
おそらく免許証を持っていなかったからでしょう。


今はそういう依頼をするような知人にはご縁はありません。
悪い縁を断ち切れば、良い縁とつながるのは当たり前のことです。


ご自分の車を持っている方々全員にお願いしたいのは、
会社の同僚だから、知人だからと、「車を貸して」
という申し出には、気軽に応じないでください。


振込詐欺とかオレオレ詐欺が話題になって年月が経ちましたが、
もしかしたら、もっと身近なお知り合いや友だちという方々の中に、

借りたものを返さない人
人をだましても平然としていられる人
悪いことをしても謝らない人
友だちなんてうまく利用するもの、という考えの人


はいらっしゃいませんか。

付き合いだから、友だちだから、と呼び出されるまま
従っていると、その親切心が利用されて、振り回されて終わりです。
突き放すのも友情です。

馬乗りされて息苦しい思いをしたことは忘れません。
500円玉を尻の穴へ突っ込むぞと、本人は冗談のつもりでも
言われてぞっとしたことは忘れません。
されたことは忘れたくても、一生忘れない、ということです。

こんな思いは自分だけでじゅうぶんです。

今振り返ると、とても恥ずかしいできごとでしたが、
自分ひとりで苦しむよりは、
教訓として事実として記録を残しておこうと
決心した次第です。

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