本人が語る歴史

先日出会ったのがこの本です。ついに…という気が。
「勝海舟自伝」1967年発行。



晩年の1897(明治30)-1898(明治31)年頃の語録です。
まえがきには、氷川神社のそばのご自宅で、

「弟子とかファンともいうべき人々が、何回か回を重ねて、翁(おう)の
回顧談をひきだし、それを速記せしめたものであろう」

とあります。
それをさらに現代仮名づかいに改め、読みやすいように段落を細かく分けて編集、
戦後初刊行したものだそうです。

たとえば「日本海軍の創始期」では、

「あのころには、幕府も浪人も、口をそろえて海軍の必要を論じたけれども、
しかし軍艦は、どうして製造するのか、金はどれくらい入用なのか、
また乗組員はどんなことをするのか、いっこうだれにもわからないのさ」

と、親しみやすくわかりやすい言葉で話しかけてくださいます。

また、関わってきた多くの方々、西郷 隆盛 氏との生々しいやりとりなど、
事実そのものとして伝わってきます。

岡田以蔵:人斬り以蔵に関する記述でも、たった1ページだけなのに
人をじっさいに斬った状況が、ドラマや小説ではとてもおよばない、
背中が冷たくなるような迫力でした。


自分は歴史的小説もかなり読みましたが、
こういった、その時代に生きた方々の、脚色や装飾が極めて少ない
ことばを聞いてしまうと、
小説へ注ぎ込んでしまった金銭や時間をとても後悔してしまいます。

できれば今後も、その時代に生きた方々のことばを振り返り、
なにか伝えたいこと、残したいこと:これは危ない/正しいを
正確に伝えてくるものをしっかり受け止めたいです。

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