戒めの書

先日出会った本です。2003年発行。
元・中の人による食事、いわゆる「クサイ飯」の記録です。


某サイトのレビューには、「内容が薄っぺらい」的なことも
書いてありましたが、その薄っぺらさこそがアノ中のごはんの、
特徴でもあります。

「年越しそばは毎年のことながらかくべつ心底うまいと感じましたね」

自分は知らなかったのですが、作る人もメニューを考える人も中の人でした。
年越しそばとは、布団の中で食べる「緑のたぬき」のことです。

年1回の運動会で配布されるキャラメル。
それも玉入れ競技に出ている間にあっさり盗まれてしまう。

本職の泥棒が集まるところで盗まれてもしかたない、とする一方で、
年一回のキャラメルを食べ損なう自分はドジだ、と
ご自分を責めます。

読めば読むほど気が滅入る内容ばかりです。

しかしいったん本から顔を上げると、ふだんの何気ない生活が
バラ色に見えてきます。
ふつうにキャラメルを、カップ麺を買う行為が、どれだけ幸運か。
ヒマ/退屈、という感情がどれだけぜいたくかを思い知らされます。

同時にこの本は

「戒めの書」

でもあります。

読後には、多くの方々が、こういう目にあわないように、
自分の行いを無意識に改めたり戒めることになります。
「昔話」や言い伝えにも似ています。

しかし、もし、これを「戒め」と受け取らず、法に触れたことをしたときも、
自分が悪いのではなく(反省などもってのほか)、
逮捕した警察が悪いとか、通報したり言いふらした知人が悪いとか、
逆恨みする人がいたらどうでしょうか。

週に2回だけの風呂に耐えることができない、
潔癖性で高学歴の方々の犯罪が増えていたらどうでしょうか。

収監されないために、あらゆる手段をつかうでしょう。
制服の方々を蔑んだり犯罪行為を大きく報道したり、
または罪を犯すよう誘導するようなことも
するかもしれません。

冷静に考えるとちょっと怖いですが、
自分の行動を改めることができるうちは、
「幸せ」で「まとも」ということです。

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