13才のハローワーク

「13才のハローワーク」 村上 龍 氏 著


たくさん本や文章を読んでいると、
時間を置いて読んだり振り返ったりすると、
また異なる感覚になる場合があります。

この本もご他聞にもれず。

たしかに「好きなこと」「やりたいこと」を
仕事にすれば、給料は少ないけど不満も少なく、
日々充実するかもしれません。

しかし、それで世間はうまく回っていくでしょうか。

ほんとうに不満が少なくストレスもないでしょうか。

なにか貢献度の高いこととうまく結びつければそれも可です。

ただし「貢献度が高いと思い込む」のは
自分を欺く行為なので異なります。


基本的に、「生きるための仕事」と「好きなこと」は
別に存在しています。

「割り切る」とも申します。

でもそれではあまりにも日々殺伐としてしまうので、
自分が得意とすること、長時間でもあきらめずに
結果を出せることと結びつける能力を持っていると
楽になります。

仕事がたいへんだーブラック企業だーと嘆く前に、
しなくてよいことはどんどん省いて、
そこでできた時間で、さらにこの仕事は無駄ではないか、とか
短縮できないか、楽にできる方法は、など考えて
どんどん切り捨てていきます。
決して「ズルイ」わけではありません。


ところが、たとえば、自分は文章を書くのが好きで(得意で)
給料をもらって書くのは当然だ、とか、
手や足を動かすなんてアホらしくてできない、とか

「ペンのチカラは偉大だ」

と声高に叫ぶ方々がいらっしゃいます。

文字にすれば(一瞬は)真実味を帯びてきますが、
最近は特に、多くの方々の意見を知ることができるので

「なんだかこれって違う」

と気づくまでの時間が短くなっています。

自分の思い通りにいかなくてジタバタしたり、
時代遅れに見えることもありますがいかがでしょうか。

対価を払って読む価値のある本とそうでもない本、
わかりやすい時代になりました。


こどもたちに学んでほしいのは、やはり、
強く、正しく生きる方法や、
失敗を恐れず立ち直る勇気です。
ストレスや不満と向き合ってうまく昇華させていく
要領の良さです。

好きなことだけに向き合っていては、そのとき楽でも、
その後に無限に降りかかってくる困難や災難に
あっさり飲み込まれたり、
利用されるだけで終わってしまうからです。

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