「食中毒の恐怖 -実際に役立つ知識と予防-」

食中毒、というと予防しないといけないのはわかるが
どうしたらいいかわからない。
ネットを見ても、正直、なにを信じていいか不安。

そんなときに手元に置くと便利なのがこの本です。

「食中毒の恐怖 -実際に役立つ知識と予防-」
岡山大学 名誉教授 金政 泰弘 氏 他 著、1998年発行。


教授が書かれた本は価格も高く難解、という印象でしたが、
こちらは比較的わかりやすいです。

冒頭には、腸管出血性大腸菌 O157。
人から人への二次感染に注意、とにかく手を洗いなさいとあります。


「腸管感染症に罹患(りかん)している患者や保菌者は
病原菌を大量に糞便中に排出しているのです。

 排便後、トイレットペーパーを使用する際、
10枚以上紙を重ねて拭かないと、
毛細管現象で手指に糞便中の水分
(菌を多量に含む)が付着
します。

わずかに0.1mgの糞便がついたとしても10⁷(10の7乗)個以上、
0.01mgでも10⁶(10の6乗)個以上の病原菌が手指に付着。

通り一遍の水洗いだけでは容易に洗い流せず
この汚れた手指で他人と接したり(握手など)食品を調理すると、
あたかも人から人へ伝搬していくように周囲の人々に広がります。
調理/食事時には必ず手を洗うようにし、
とくに排便後の手洗い消毒は大切ですので十分すぎるほどおこないたいものです」

当時の県別発生状況です。


さらに、乳幼児に蜂蜜を与えてはいけない理由など。

「乳児突然死の原因になることがあるので乳児に蜂蜜:ハチミツは厳禁」
「なぜ乳児でこのようなことが起きるかというと、
乳児の腸の中には乳児固有の細菌の集団があり、
この集団中でボツリヌス菌は増殖可能であると考えられているからです」


さらに同書の巻頭には、昭和10年代に、置き薬屋が配布していったチラシが
掲示してありいます。
根拠に不確かな部分もありますが、こうして生活の知恵は
受け継がれていったのだとよくわかります。


どこが原因なのか、と調べるより、とにかく

外出から帰宅後はすぐに手を洗う、
トイレから出たら手を洗う、
せっけんを使うクセをつける、
乳児にハチミツを与えない、


など常識として覚えておいて、
予防に注力したほうがよさそうです。

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