ほんとうにあったオレオレ詐欺

世間で話題の「詐欺」関連の電話は
ひとごとだと思っていた親に起こったできごとをご紹介します。

3月2日の朝9時前に固定電話に着信がありました。

電話帳登録とそれ以外の電話は鳴り方を分けていて、
特に見知らぬ番号のときは電話の応答メッセージに
切り替えていましたが、母はうっかり
「ハイ」
と対応してしまいました。

ここから先は本人から聞いた会話です。

男性「◯◯おばちゃん?」
母「そうですがどなた?」
男性「長男の甥っ子です」
母「あら、◯◯ちゃん?」
男性「はい、今◯◯に仕事で来てるんですが、
昼頃そちらに寄ります、ひとりですか?」
母「ひとりじゃないわよ」

親戚(お客様)が来る、ということで
おおあわてで準備をしながら電話の内容を聞いていると、
「長男の甥っ子」という表現が軽く心にひっかかります。
長男て誰の? 聞き間違って「甥っ子の長男」だとしても、
出張するほど出世してないハズ(←失礼)

そういえば市や県、県警などの公式アカウントで、

「親戚を名乗る男から『今から行くから』というオレオレ詐欺の電話が
かかっています。ご注意ください」


というツイートを見たような。

先方は確かに母の名前を知っていて、
(←安心してしまったきっかけその1)
母の「◯◯ちゃん?」の呼びかけに「ハイ」と答えた
(←安心してしまったきっかけその2)
という会話の流れを思い出していくうちに、
「そんな電話がかかってくるわけがない」という根拠のない自信が
グラグラと揺らいでいきました。

とにかく本人の実家へ確認すれば結論は出るので(早く気づけ)
「本日来てくださるそうで」とにこやかにお電話したところ、
「主人は遠方に行く仕事ではないです、出張はまずないです」
着信した携帯の番号を伝えると、
「いや、その番号は主人のと違います」

半ばボーゼンとしながら電話を切り、いよいよ専門家に
相談しようと、地元の警察署へ電話しました。
例の3ケタではなくて代表番号です(緊急ではないので)

まず心配なのは、「相手が来たらどうしよう」ですが、
「来る前にお金の相談から始まる」など
丁寧に教えてくださいました。当たり前ですがさすが経験値高い。

話をおうかがいするうちに、考える余裕が出てきました。
もしかしたら「(家に)ひとりではない」と知って
あきらめたかもしれない。

…と安心していると、なんと11時40分頃、
親戚を語る男性と同じ携帯から2回着信。
何か言いたいのをグッとこらえ、電話の応答メッセージに
切り替えたところ、2回ともあっさり切れました。
ここは2度と接触しないのが正しい戦い方です。
あおりに軽く乗らないのも賢い勝ち方です。

今回は未遂でしたが、自分が不在だったら、
と想像すると自信がありません。
身内が亡くなってまもなく一周忌、というときに
詐欺被害にあっていたとしたら、おそらく
悔しい、という感情ではおさまらなかったでしょう。

さらに気味が悪いのは、相手には罪の意識がありません。
◯◯を買いませんか、という電話や訪問販売と同じくらい、
当たり前に金品を奪いに来ます。
そのうちに「オレオレ詐欺」保険ができて、
さらにその保険会社から名簿が流出して…

考え過ぎかもしれませんが、
なにが怖いかというと犯罪はふつうにあるもの、
誰でも犯罪者になりうる、という「あきらめ」です。
少なくとも今までは、
「この国の人は悪いことは基本的にしない」
と自制してきました。
しかし実際には最悪な状態は起きているし
何気ない日常の中に存在しています。

しかし、人を信用しすぎるとこうなるとわかって、よい機会です。
慈悲も大切ですが、時には思いきって切り捨てて身を守ることが必要です。

なお、プロフェッショナルに相談する際は、
なにがあったか(時系列)、
なにが不安でどうしてほしいかを
簡潔にわかりやすく話す必要があります。
これは日々、人との会話を怠り文字のやりとりに頼っていると
困難なので、こういうスキルは身につけていて損はありません。

午後には少し遠くて音声が聞き取れませんでしたが、
おそらく「詐欺に注意」を呼びかける放送をしている
県警ヘリが飛んでいました。
ホバリング技術すごいなーと感心しつつ、だまされかけたばかりで
少しハズカシイ気がいたしました。

日々いろいろ教訓があります。
他の多くの方々が、自分のような目に遭わないように、
また電話に出てしまっても「もしかしたら」とすぐ気づけるように
願うばかりです。

せめてナンバーディスプレイ機能のある電話や、
代わりに応答してくれる電話に買い換えることを
お勧めします。
数百万にもなる損失に比べればわずかな投資です。

親御さんやご親戚が遠方にお住まいで、どんな声かを
忘れてしまう場合も多いでしょう。
たまには電話で確認し合ったり、旅行も兼ねて遊びに行かれてみては
いかがでしょうか。

コメント