経験は教師なり

自分が健康と見回りを兼ねて歩き回ると、
犬の散歩中の方々と顔見知りになります。

中でもよくお会いする、小柄な年配の女性。
先日は見覚えのあるブランドのTシャツをお召しでした。


おそらくご家族のものかなーと想像しつつ、
思いきってご質問してみました。
「そのTシャツ、どうされたんですか。」
「これね。古いんだけど、バイク乗ってたから
えーー!
彼女のご容姿からは想像もつかなくて、絶叫してしまいました。

125ccのオフロード。大きくて地面に足が届かなかったよ」
「お、オフロード…」
北海道も旅行したよ。ホンダ、ヤマハ、スズキも乗ったなあ」
ウゥワー!!

時代的には、パリ=ダカール・ラリーで国内が盛り上がっていた頃。
憧れてバイクに乗り始めた方々も多かったのでしょう。

北アルプスなど、3,000m級の山々にもよく登頂されたそうです。
当時はペットボトルもなかったから、重い水筒で水分を補給しながら
1日かけて登って、1日かけて降りてを繰り返したそうです。

またお会いしたときにまた少しづつ、お話を聞いてみます。


ところで、親御さんも含め、ご近所にも多くの年配の方々が
いらっしゃると存じます。

地元の行事やイベントなどに参加されるとわかりますが、
有り余った時間ともらった年金を使うだけの日々を送っている方々。
ほぼ毎日、テレビや新聞、最近ではインターネットのニュースを
情報源として、顔見知り同士で共有して満足してしまいます。

その一方で、野菜を作ったり、遠方に買い物や旅行に出かけたり、
ボランティアに積極的に参加されたり、
とにかく何かしらプロデュースしている方々と、
大きく分かれることに気づかれると存じます。

人と同じことをしていれば安心だから、と
何かの集まりに誘われて断りきれずに参加しているうちに、
高額なものを買わされたり、
看板持って立たされたり、署名したり、
思想を吹き込まれてデモなどに参加したりなど、
大いに利用されてしまうのはどちらに属する人々か、
おわかりいただけるでしょう。

退職して肩書きを失って、何をしてよいかわからない、
免許も返納したから明日からどうしよう、
と路頭に迷う方々は、周囲もその動向を
注意しておく必要があります。


バイクに乗っていた年配の女性に関しては、
若いうちにわがままに好き勝手なことやって、
と批判する方も多いでしょう。

しかし、困難な登山やオフロードバイクを乗りこなしたという
達成感が、彼女やご主人を強くしたのです。
どこにも属さない、頼らない強い姿勢を保てているのです。
一見孤高ですが尊いことです。

これだけは、という経験を積み上げて強くなる。
経験は人を厚く(熱く)します。
なにかを始めるのに遅すぎることはありません。

安心できる老後とは、お金だけがなんとかしてくれるものでは
ないのです。

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